2018~2022年度 文部科学省 科学研究費助成事業
新学術領域研究(研究領域提案型)

Hydrogenomics

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領域概要

領域代表あいさつ

水素は、変幻自在な元素です。極めて広い濃度範囲で材料中に存在し、高い移動性や量子性、そして他の元素と多様な反応性を示します。この時、周囲の状況に応じて、原子状態H0や共有結合性Hcov.・イオン性(しかもプロトンH+とヒドリドHの両極性)、またそれらの中間状態にもなり、更に各状態で水素自体の大きささえも劇的に変えます。

本領域の目的は、変幻自在な水素の性質を人類が “使いこなす” ための指導原理となる新たな水素科学(ハイドロジェノミクス、Hydrogen(水素) - omics(学問体系))を構築することです。

これを目指して、工学・物理学・化学・生物学の学問分野の枠を超えた研究者相互の有機的連携によって多彩な「高次水素機能(個別の水素機能の融合による相乗効果)」を誘起し、革新的な材料・デバイス・反応プロセスを実践的に創成します。個別の水素機能としては、材料中での水素の「高密度凝集(A01)」とともに、電子機能・力学特性等の強化のための微量水素の「界面局在(A02)」も重視します。また短・長距離に渡る水素の「高速移動(A03)」に加えて、新発想デバイスや新規物質変換プロセスのための水素の高活性化による「反応プロセス促進(A04)」にも着目します。更にこれらの個別の水素機能を効果的に融合するために、材料中の水素の性質をこれまで以上に高精度に捉える「先端計測・シミュレーション(A05)」の研究も推進します。

学問分野の枠を超えた有機的連携により新たな水素科学を構築する本領域を遂行することで、次々世代のエネルギー変革や物質科学全体の飛躍に貢献します。

平成31年度 科学研究費助成事業

領域代表 折茂慎一

1995年広島大学にて博士(学術)取得。同年から2002年まで広島大学助手(この間、1998~99年にはフンボルト財団・文科省在外派遣研究員としてドイツ・マックスプランク研究所に在籍)。2002年東北大学金属材料研究所助(准)教授を経て、2008年より教授、2013年よりWPI-AIMR原子分子材料科学高等研究機構(現 材料科学高等研究所)にも兼任。2019年10月より、同・所長。この間、総長特別補佐(企画担当)、総長プロボスト室員。金属材料研究所先端エネルギー材料理工共創研究センター長、日本学術振興会・産学協力研究委員会「材料中の水素機能解析技術第190委員会」委員長など。文部科学大臣表彰科学技術賞、Hydrogen&Energy Awardなど受賞。

研究内容

  • 材料中の水素が示す4つの個別の水素機能に着目
  • これらを融合することで多彩な高次水素機能を誘起
  • 先端計測・シミュレーションに基づく水素データ同化技術も導入
  • 実践的に革新的材料・デバイス・反応プロセスを創成
ご担当の学術調査官
田中 優実 先生
東京理科大学
(~2018年7月)
岩倉いずみ 先生
神奈川大学
(~2019年7月)
緒明 佑哉 先生
慶應義塾大学
(~2020年7月)
古川 森也 先生
北海道大学
(~2021年7月)
鈴木 大介 先生
信州大学
(~2022年7月)
安田 誠宏 先生
関西大学
桶葭 興資 先生
北陸先端科学技術大学院大学
3ステージで確実に成果創出 Ⅰ: 個別の水素機能の高度化
Ⅱ: 高次水素機能の誘起
Ⅲ: 領域全体での革新的材料等の創成
優秀な若手研究者の育成 推進グループ16名が一体となり、国内外研究拠点への派遣支援、戦略広報での交流強化、キャリアパスの拡大などを実現します。
最新の共用装置の整備 合成・分析等の最新装置を設置、共用装置として広く活用します。
斬新な公募研究に期待 30件を目処に材料・デバイス・反応プロセス・計測および計算等の研究を公募、計画研究と一緒に革新的材料等を創成します。
ハイドロジェノミクスの継続的な普及・発展 ハイドロジェノミクス研究会や水素科学連携研究拠点の設置・整備、そして研究成果の社会実装等を推進します。

【マネージメントサポート担当】

東北大学・折茂研究室
Tel:022-215-2093
Email:secretary@hydrogenomics.jp

【アウトリーチ担当】

東京工業大学・一杉研究室
Tel:03-5734-2636
Email:outreach@hydrogenomics.jp
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